欺瞞的護憲論の見本

秋月瑛二氏の樋口陽一批判を読んだ(http://akiz-e.iza.ne.jp/blog/entry/780953/)。至極真っ当な批判である。

月氏が批判するのは、樋口論文の「九条のもとで現にある『現実』を維持してゆくのが、それこそ『現実的』な知慧というべきです」という部分である。

これこそ、井上達夫が批判するところの護憲派の最もたる欺瞞である。井上は言う。「護憲派は彼ら自身を含む国民全体が絶対的平和主義によって課される『殺されても殺し返さずに抵抗するという、極めて重い苛烈な責務』を回避して、自衛隊・安保によって供給される防衛サービスという公共財を享受し続けることを事実上容認しながら、その規範的認知は留保して、9条に対する自らの絶対的平和主義的解釈を温存することが可能になった。」 (id:hiranoaya_daisuki:20081024参照)